VOL.02
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生産者の挑戦と努力が生んだ秩父の名産
秩父の中でも山深く、清流が流れる上吉田地域。そんな山間部の傾斜地に広がるのが山口さんのカボス畑です。安心で美味しいカボスを推奨するため、無農薬・有機栽培を徹底しています。
「はじめから、カボスが秩父の特産物だったわけではありません。」と山口さん。栽培のきっかけは、20年ほど前。当時小鹿野町の地域活性に尽力されていた武内さん(故人)のすすめでした。カボスの産地といえば、大分。秩父の気候が大分に似ていることから栽培に挑戦しました。「最初は試行錯誤の繰り返し。温暖とはいえ、秩父の冬は厳しく冷気で木が枯れることもあります。この山間地の斜面は日当たりが良く、山々が強風や冷気を防いでくれる。カボスが順調に育ち実をつけた時は本当に嬉しかったです。ここでなら栽培できるのではないかと。」町の休耕地が、秩父の名産と活気をつくりだす兆しとなった瞬間でした。
カボスだって、人と同じ。1本1本違いがある。
「ここのカボスは、それぞれ歳も違うし健康状態もいろいろ。だから毎日畑に行き、葉のつきや色などを確認します。木の状態を見極めて剪定や摘果、土の加減(施肥など)をしないと元気に育ちません。特に植栽後2~3年の防寒対策には重要です。」よく見ると、確かに木の大きさ・葉のつき・艶など木によって違いがあります。1本1本、丁寧に気を配るのはなかなか大変な作業です。それぞれの木の収穫量も把握している山口さん。カボスへの愛情と生産者としての高い熱量を感じます。「きちんと向き合えば、たくさんの実をつけて応えてくれる。豊作になると嬉しいものです。晩秋に実が熟して黄金のカボスに変身するのを見ると、育ててきて良かったなと思います。ああ、これが自然の恵みだなと実感しますね。そして、山に守られ、川が流れ、ホタルが飛翔する。この緑豊かな土地を大切に守り、暮らしていることに幸せを感じます。」
もっとみんなに届けたい!カボスの魅力
「カボスはただ酸っぱいだけの果実ではありません。爽やか香り、酸味の中にもほのかな甘味もあって色々楽しめます。クエン酸やビタミンも豊富だから、もっと身近な果物として活用してほしいですね。
カボスは本来9月頃に収穫しますが、あえて晩秋まで木に残し黄色に完熟させた、「黄金カボス」も是非味わってほしい。ぐっと果汁が増してまろやかな味になります。」秩父の新たな特産「黄金カボス」。戸田乳業でもリキュールやシロップなどに使用しています。カボスの爽やかな香り、クセになる酸味が人気です。
「カボスは、秩父の地形や気候に合った果樹だと思います。秩父の恵みが詰まっている。これからも秩父の食を代表するブランドの一つとして、成長させていきたいです。」
なかなか語り尽くせないカボスの魅力。山口さんおすすめのカボスの楽しみ方や秩父のカボスグルメなど、戸田通信でも詳しくご紹介していきます!